札幌地方裁判所 昭和45年(ワ)1109号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕一、請求原因第一項(事故の発生)のうち、原告ら主張の日時場所において、亡満が何者かの車両によつて轢過され死亡したことは当事者間に争いがない。
二、そこで、まず右事故が訴外上前の運転する車両により惹起されたものであるといいうるかの点について検討するに、<証拠>によると、亡満が車両に轢過され転倒していた地点は、町道漁川沿線上の、国鉄千歳線踏切から南方国道三六号線に向け約五六メートルの道路左端寄りであること、右道路は見通し良好な直線道路であつて路上に存在する物体の発見は容易であること、訴外上前は事故当日の午前八時すぎころ、亡満の転倒地点から北方約一八〇メートル程離れた自宅前から加害車(タンクローリー車。車両重量10.5トン余、車長9.35メートル、車幅2.47メートル、車高3.13メートル)を運転し、右町道上を国道三六号線方面に向け進行し、本件事故発生時刻ころ事故現場を通過していること、ところで加害車の後方から普通乗用車を運転して同一方向に進行していた西口武雄が、右踏切を渡つて殆んど間もなく前記地点に通学途中の亡満が転倒しているのを発見しているのに、訴外上前においては亡満が転倒して進路上に在るという事態を発見していないこと、しかも右両車間には他の車両はなかつたこと、亡満の傷害の程度は、頭蓋骨複雑挫砕、脳挫滅、脊髄・大動脈の離断等を伴う頭頸部にわたる著しい圧潰症(致命傷、骨盤において右側仙骨と腸骨の完全分離、恥骨縫合の破砕等を伴う臀部から右下肢にわたる重篤な圧潰症であつて、右の各部に極めて強い圧迫が加わつたことを示していること、北海道警察本部刑事部鑑識課員が、事故当時亡満の着用していたズボンとアノラツクに印象されていたタイヤ痕と当時の加害車の左前輪、左中輪外側、左後輪外側および内側の印象紙に印象されたタイヤ痕(横浜ゴム製Y四二〇、スノーキング)とについて、模様の形状比較検査および重合比較検査を施行した結果、ズボン、アノラックに印象されたタイヤ痕は右タンクローリー車のいずれのタイヤによつて印象されたものであるかは明らかでないものの、前記四個のタイヤ痕と同型の模様であるとの鑑定意見を示していること、事故後、加害車を検査するに前輪フエンダー先端左右に前方に向いて取りつけられてあるべき車幅燈の左車幅燈が後方を向いており、また右車の前部左側方向指示燈の直下(地上約1.25メートルの部位)に縦横各三センチメートルの範囲で、毛製品によつて印象されたと認められる痕跡が発見されたこと、なお事故当時加害車のかなり前方を国道方向に向けて進行する二台のダンプカーがいたが、そのうち一台は前輪がトーヨー製のスノータイヤ、後輪は夏タイヤであり、他の一台は前輪が横浜ゴム製の普通型スノータイヤ、後輪はトーヨー製のスノータイヤであつていずれも加害車の前記タイヤとは異なることがそれぞれ認められ、右認定を覆すに足る証拠はない。
以上に認定した事実からすれば、本件事故が加害車によつて惹起されたものと推認するのが合理的である。
(藤原昇治 前川鉄郎 佐藤久夫)